【平塚工業株式会社とは?】1947年創業、もうすぐ80周年を迎える配管設備工事会社です。
“配管”というと建物の裏側や壁の中にある空気(空調)やガス・水道などの設備を思い浮かべる方も多いかもしれません。もちろん、当社でもそういった設備も数多く手掛けてきましたが、現在中心となっているのは、様々なものづくり現場の機械の一部として使用されるプラント設備。「この分野だからこそ味わえる「面白さ」や「やりがい」を、ぜひ若い人たちにも知ってもらいたい!」と、当社のコアメンバーである3人の“アニキたち”が実情を、サイコロの出目ごとのテーマで語ってくれました---。
【語ってくれた“アニキ”たち】[3人.jpg]
◆Oさん…入社29年 49歳(左)
◆Oさん…入社27年 49歳(中)
◆Fさん…入社27年 48歳 (右)
→全員、大阪工業技術専門学校・建築系学科卒
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[まさか.jpg]
スマホやパソコン…実はあらゆる電子機器の進化に貢献!
3人が入社以降、平塚工業が主に関わってきたのがリチウムイオン電池の製造設備や、大手塗料メーカーの塗料製造の設備の配管。
「工事関係の仕事がしたい」という理由でこの業界に足を踏み入れた3人でしたが、専門学校進学当時も就活においても、ぼんやりとイメージしていたのは「建設工事」で、正直なところ工場設備工事は想定外だったそう。
特にリチウムイオン電池は、個人が所有する製品に使用するために製造されるようになったのは1990年代の前半。3人が入社した当時は、まさにこれから本格的に製品化していこう…という時代でした。
「今は海外に行くことは基本ありませんが、実は日本のメーカーがリチウムイオン電池を本格的に量産する工場を中国に新設する時に、その製造ラインの配管設備を担当したんです。」というのは、Oさん。当時行った現場では配管担当SVは1人、JVは日本人の方もいましたが作業員は中国の方々…という状況で、中国人の通訳を通してのコミュニケーションにはとても苦労したそう。
「当時は、どんな物に使用するリチウムイオン電池?って感じでしたし、まさか海外の工場の配管設備のSVをする…なんて想像もしていませんでした。」(Oさん)
…まさにリチウムイオン電池の量産に大きく貢献できた仕事。現在のように誰もが蓄電池や環境対応車を持てるようになった陰の立役者の一人であることは、間違いないでしょう!
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実は“守秘義務”“トップシークレット”だらけの世界。
設備施工管理(現場監督)の仕事は、設備を完成させる過程において、製造ラインの仕様決定の初期段階から関わり、予算管理や図面作成、配管資材・人員手配、現場の管理までトータルに手掛けます。
平塚工業が関わるのはその製造ライン全体の中の一部分ではあるものの、そこで製造される製品の品質に大きく関わる材料となる化学物質(液体・気体など)が通る“配管設備”。この“材料”の種類や比率、温度などは製品づくりにおいてまさに『トップシークレットだらけ』なのです。
例えば塗料…というと、皆さんは「色を塗るもの」というイメージをではないでしょうか。しかし実際は様々な用途があり、自動車用塗料を一例に挙げると、太陽光や錆、傷などから車体を守る塗料もあり、それら複数種類を塗り重ねても0.1mmほどの厚さにしかならない、まさに塗料メーカーにとっては特殊かつ独自のノウハウが集約されています。そのため、それら塗料を製造する設備に関わる当社にも、守秘義務が数多くあるわけです。
「例えば配管資材を選ぶ時には、どんな物質がどれくらいの温度の状態で通すのか…といったことを把握して選ぶ必要があるため、最低限必要な情報は共有いただきますが、情報漏洩は絶対NG。また大半は完成した設備を写真に撮ることも禁止されていますし、最終製品を教えていただけないこともありますね」と、Oさん。
こんな重要機密に関われることも、この仕事の面白さの一つではないでしょうか?
[わかる人には.jpg]
“見える配管”だからこそ、完成品に“個性”があるんです。
「出来栄えへのこだわりが特に深いのは、こっちの二人ですね」とFさん。
建物の壁や天井で隠されてしまう建築設備と異なり、プラント設備は工場内にむき出しになるもの。というのも、工場では常に配管内に液体や気体を流したままにするのではなく、生産過程において、バルブを開け閉めして中を流れる物質量を調整するなど、製造現場のスタッフが作業をすることもあるため、あえて隠さない…という物になる。
「現場の方の使い勝手の良さや、安全性に最大限配慮するために、事前にお客様のご要望をお聞きすることはあくまでも大前提。その上で配管の仕方や機器類の配置など、現場の方の目にもスッキリ見えるよう設計しています」(Oさん)
「設備を設置するメーカー企業との直接取引もあるので、実際に私たちが手掛けた設備を使う現場の人からの声も聞くことができるんです。作業しやすいようにと考えて工事をしますが当然不満な部分もお聞きすることがあるので次には改善するよう努めています」「作業しやすくなったわ!と言われるうれしいですね」(Oさん)
見映えの点で言うと、例えば配管の通し方や固定する金物の取り方にもそれぞれの個性があるため、「この現場は〇〇さんが担当したに違いない」「この配管は他社が工事したんだろうな」ということが、ひと目でわかることも。
また管材の配置の仕方で使用する本数・長さや、その他部品の数、工事日数も異なってくるため、見た目だけを気にするのは当然NG。様々な側面でのこだわりによって“個性のある配管設備”が完成するのです!
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冷却液の仕様変更で、配管が想定外の事態に!!
冷却ジェルシートに使用するジェルの製造ラインの配管工事を、当社の現社長が担当した、かなり以前の工事のことです。製品材料を機械に送る際に材料を一定温度に保つ必要があり、材料を通す内側の管と温度の上昇を防ぐために5℃の水を通す外側の管の二重構造の配管に、さらにその外側に保温材で覆うという配管になっていました。
しかし計画途中で、5℃では内側の管を通る材料の温度を保てないことが判明。急遽、水ではなくマイナス温度でも凍結しない冷却液に変更したところ、外側の保温材が凍結してしまう事態になってしまいました!
これでは保温材としての機能を果たせなくなる…と、別の素材の保温材に変更しようにも、普段なら簡単に剥がせる保温材が剥がれず、ハンマーなどの工具を用いて必死に剥がしとる羽目になってしまいまったそうです。
そう、施工管理とは設備工事の現場監督業務以外でも、工事に使用する資材選びも重要であり難しさでもある仕事。こういった“失敗談”も共有されるからこそ、経験以上のノウハウを吸収していくことができます。
「あ、くそー!と思った出来事と言えば…」とボソッと打ち明けてくれたのはOさん。
上記でも話した通り、様々な“秘密”に溢れる現場とあって、出来るだけ一社が知る機密情報を最小限にするため関わる工事業者を分散させることがあり、当社が施工した後の工程部分を全く別の工事業者が施工する事もあります。工事の際他社の設備業者ともとりあい部分があるため
「せっかく、現場の人たちが使いやすい配置を考えた設計にしていたのに、他の設備とのカラミで思っていた配管が出来ず使い勝手が悪くなってしまったのでは…。そんな時は、残念に思います(苦笑)」。
少し特殊だと評される、平塚工業が担う設備工事。こういった事態を避けるためにも、直接関わることが無いものの、同じ現場の工事を行う業者ともできるだけ、問題ない範囲で情報共有ができる機会も設けているそうです。
[ちょっと自慢.jpg]
「最新技術に関わる」ことはもちろん、過去にはアノ場所も!
工場などのプラントに使用する配管設備が、今後の主流となってくるであろう平塚工業の仕事。過去には、今や昭和の遺産ともなりつつある“家庭用ビデオデッキ用のVHSテープ”の製造ラインに欠かせない配管設備工事にも携わり、創業から約80年の間、常に時代に求められる最新の“ものづくり”に数多く関わってきたのは、当社社員の「全員」の自慢。
そんな中で建設現場の設備工事も多数お任せいただいてきた当社では、こんな経験をした人もいます。
「私の場合はプラント設備ではなく、建築設備ではあったんですが、世界でも人気の大規模テーマパークが大阪にできる!というタイミングで、園内のアトラクションやギフトショップの空調設備工事を担当しました」(Fさん)
オープン後、テレビや雑誌などのメディアにも何度も採り上げられ、大人気で多くの人が列を成した大人気アトラクション。
広々とした敷地内をあちこちに移動して朝礼や打ち合わせに、暑い中で走り回ったことも「今となってはいい思い出」だとか。
幅広い現場を経験でき、技術ノウハウを身に付けることができる環境だからこそ、入社約30年を経った“アニキたち”も「仕事ながら、趣味のように没頭できるんですよ」と口を揃えて言うのでしょう。
[今だから.jpg]
今となっては辞めなくて良かった…と思っています(笑)。
「最初の頃は、辞めたいなぁと思っていました」。
そうOさんが発言すると、他の2人も「そうそう」と同調…。
というのも、専門学校で設備工事の基本は学んでいたものの、平塚工業が携わる工事の大半がいわゆる“プラント設備”の配管。生活に身近なマンションや商業施設とは異なり、普段の生活の中で目にする機会が無い企業の工場に設置する機械設備の配管だったこともあり、なかなか仕事の面白さを実感できるまで理解を深めるのに時間がかかり「専門学校で学んだことが活かせる場面が少なく、わからないことだらけだった」ことが就職当初の感想。
しかしFさん曰く「経験を重ねるたびに新たな知識を得て、任せてもらえることも増えてくる…という成長実感が持てる場面に数多く出会えて、面白さがわかるようになった」とのこと。
上記のような様々な体験・経験ができて面白さややりがいへと変化したのでしょう。
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……今回の対談の最後に「大きな声では言えないけど…」と付け加えたこと。それは、
「なんだかんだ言っても、慣れてしまえば色んな意味でラクなんです」とのこと。
その理由として挙げたのは、
◎工期が短い
┗工事が1日で終わるものもあり、長くても3ヶ月ほど。忙しい時期とヒマな時期がはっきりしていて、ヒマな時期に有休を取ったりしやすい。
◎自分のペースで仕事ができる
┗案件ごとに1人で担当するので、自分のやり方で進めることができる。
……といった点。
「いろんな経験を経てこの年齢になってくると、自分のスタイルができてきますからね。それを尊重してもらえる、この職場がとても気に入ってます」と締めくくってくれた。