「お客様の思い出に残る料理、サービスの提供」をモットーとし、大阪北摂地域を中心に、イタリアンや中華など多数の店舗を展開している株式会社リ・ライフ。このコロナ禍をどう乗り越えてきたのか、これからの若者に何を伝えるのか、取締役である、向よしおさんにお伺いしてきました。
--------今回のコロナ禍ですが、影響はいかがでしたか?
自粛期間中の2ヶ月休業していたこともあり、一番ひどい時で売上が昨対30%まで落ち込みましたが、今では70%くらいまで戻ってきています。
各店舗の立地も大きく影響しており、郊外の店舗ですと昨対80〜90%まで戻っていますが、商業施設などはお客様が少ないこともあってまだまだ厳しいですね。特に空港内にある店舗は昨対40%くらいです。旅行客も少ないので、これはどうしようもないですね。
イタリアンの店舗はバイキングをやっていたのですが、それができないので現在は休業中です。その一方、老人ホーム内の調理事業は需要があるので、ほぼ例年通りの売り上げを保っています。当社は様々な業態や事業をやっているので、一つが厳しくても他でカバーできるのは強みですね。
--------コロナ危機を乗り越えるために、新たに取り組み始めたことなどはありますか?
今までは企業の宴会予約などが多く売上の大部分を占めていましたが、コロナの影響で大人数での予約が見込めないので、今までの方向性を変更し個人向けの施策を検討しています。例えば、会社の忘年会ではなく、家族の忘年会というコンセプトで企画したり、またネットでの発信にも力を入れ、今年の4月からはYouTubeでの動画配信も始めました。効果があるかどうかはこれからですが、自分たちに何ができるかを考えながら仕事をしています。
店舗展開については現段階では検討をストップしていますが、出店の話自体は色々なところからきており、来年しっかりと体制を整えてから新店舗を増やしていく予定です。
--------人材の採用についてのお考えをお聞かせください。
当社の会社説明会では、「基礎が学べる会社」とみなさんに伝えています。ですので、まず「基礎をしっかり学びたい」という方が当社に向いてると思います。応用は基礎をしっかり積んでからでいいと思っており、まずはちゃんと挨拶や返事ができるかどうか、掃除を丁寧にできるかどうかなどからスタートし、一つ一つできるようになるまで徹底して教えています。あとは、「料理を作ることに興味、関心を持ってくれていること」が大切だと思っています。
また、面接時に嘘偽りなく会社のことをお伝えし、親御さんにも当社のことを伝えてもらった上で、選考を受けてもらっています。入社してからすごく伸びる子の共通点は「自分から手をあげる人」。当社では多くのチャンスを作っており、それを活かして成長に結びつけるかは本人次第ですので、ぜひそういった学生と出会いたいですね。
--------採用後の育成はどんな取り組みをされていますか?
入社後は、3人体制でいろいろな先輩を担当につけています。叱る先輩、意見を聞く先輩、愚痴を言える先輩など、社員一人に任せるのではなく、みんなでフォローすることでその子が本音で発言しやすい場をつくり、主体性を発揮できるよう環境を整えています。また、外部研修にも6ヶ月間、月1回のペースで受けてらっています。
他には、1ヶ月に1回、現場の上司と交換日記を実施し、本社への意見を記入したものを定期的に提出してもらっています。
仕事内容としては、最初の半年は盛り付けや下準備などの補助業務をメインで行ってもらいながら、上司の仕事を近くで見てもらい次の業務も合わせて覚えていってもらっています。早ければ1年目で一つのポジションを任せることもあります。
教育は現場の社員だけに任せるのではなく、総料理長と私で協力しながら各店舗への教育も行なっています。
このように育成や教育をその現場の社員だけに任せるのではなく、会社として成長をバックアップしています。
――――最後に、今就職活動をしている若い人たちにエールをお願いします。
こういった状況の中でとても大変な時期だとは思いますが、自分の好きなことを目指して学校に入っているからこそ、時間や給料だけで企業を選ぶのではなく、本当に入りたいと思える会社を探して欲しいと思っています。
私は就職活動中の学生に対して必ず「いろんな会社を受けるべき。あなたが私に質問したことなどを他社でも伝えて、どんな言葉が返ってくるのかを見たりなど、自分に合った1社を選ぶために最後までめげずに頑張って欲しい」伝えています。
就職しないといけないという理由で就職活動をするのではなく、コロナの影響で最後まで自分に合った企業と出会えないのであれば、就職を1年伸ばしてでも自分に合うと思う会社を探しても良いと思っています。出会いは必ずどこかに転がっています。
◆向よしお様プロフィール
17歳から飲食の世界に入り、街場の料理屋やホテル、神戸のコンチェルト船などで働いた後、2008年に株式会社リ・ライフに入社。半年後にはアジアンダイニングの料理長を勤め、2018年現在の取締役部長に就任。