IT 業界のあるある=過重労働!?
開発職が携わるプロジェクトには納期があり、そこに間に合わせることは責務。そのため長い間、エンジニアは長時間労働や休日出勤が当たり前という風潮がありました。この業界の創生期には、「30 歳定年説」が謳われていましたが、終電や徹夜、会社に寝泊まりといった過酷な働き方はその説を強固に裏付けるものでもありました。 しかし近年では、「働き方改革」が進み、エンジニアを取り巻く環境にも変化改善が見られるようになってきました。肉体を休ませ、プライベートを充実させることで、エンジニアの健康や幸福感を向上させていく。そのことで、エンジニアが長期的にキャリアを積むことができ、業界の発展に寄与することができます。
今回は、エンジニアの労働環境づくりを大切にしてきた【株式会社エルフ】の事例を通して、 エンジニアが豊かな人生を歩める働き方をご紹介します。
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【株式会社エルフ】
兵庫県尼崎市に本社を据え、電気・空調・工場設備等のインフラ業界でシステム開発を手掛ける会社。高い技術力と技術者の育成、高パフォーマンスを生み出す労働環境が強み。 2024 年よりSDGs宣言を行い、持続可能な生産活動を目指した取り組みをスタートしている。
私生活を大切にできる働き方へ舵を切った背景
きっかけは今から12~13 年前のこと。まだ日本自体が長時間労働やサービス残業にあふれ、エンジニアは過重労働が当然という風潮が強く残っていた時代でした。会長は飼っていた猫の世話を母に任せ必死で働く毎日。そんななか、突然の愛猫との別れが訪れたのです。「愛猫を見送った際、『私は20年間この子に何もしていない』と強い後悔に襲われました。いくら好きな仕事でも、私生活を犠牲にするべきではない。プライベートも大切にしないと人として寂しいと痛感しました。短距離のスピードで長距離走はできない、と。そこから皆が幸せでいられるような労働環境を模索しました」(会長)。
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プライベートを尊重できる働き方へ
セキュリティ上、持ち帰っての作業が難しいため在宅が導入できないこともあり、現在、エルフではフレックス制を導入。エンジニアによって集中できる時間は違うため、作業効率を重視しています。また、有給休暇は時間単位で取得ができるのも、エンジニアにとってメリットが高いといいます。
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会長「仕事には責任が伴いますので、締切や不具合の対応は優先してもらう必要があります。だからこそ、休めるときはしっかり休んでほしい。時間での有給取得ができると、平日役所関係の対応や育児・介護、通院など、プライベートを優先することも可能です」。
エンジニアが働きやすい作業環境とは?
エンジニアは長時間座って仕事をするため、エルフでは椅子は座り心地を最優先して疲れにくいものを使用しています。また、デスクも大きめでモニターも 2面、3面と複数設置し作業しやすい環境を整えています。エルフでは、必要経費としてエンジニアの作業環境は最優先で投資をしています。
しかしながら不具合の対応や納期対応で、残業が発生することもあります。エンジニア一人ひとりが会社の利益に直結するため、利益は社員へ還元したいという思いで、さまざまな環境を整えています。 休憩スペースにはマンガ読み放題、マッサージチェアやアイマッサージなど健康器具使い放題、お菓子や食料品を社員価格で販売するなど、うまくオンオフを切り替えられるようなグッズをたくさん揃えています。
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「ずっと仕事のことを考えているときよりも、ふと気を抜いたとき やリラックスしたときにいいアイデアが湧いてくるもの。運動不足にもなりがちですし、リフレッ シュできるアイテムは充実させたいと思っています」(会長)。
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花見やお月見、七夕など季節を感じる行事を取り入れたり、誕生日をお祝いしたりと、季節の行事を大切にしているというのもエルフならでは。人と人の関わりで生まれる関係性や季節の変化を大切にしています。
整備後はどんな変化がありましたか?
エンジニアにとって、自分のデスクがあり自分のペースで仕事ができることは、一番生産性 が上がりやすいため、一人ひとりに作業空間が確保され、適度にリラックスができる状態は好評。客先常駐しているエンジニアは「送り出されるという感覚ではなく、帰るところがあると いう気持ち」だと、社内の居心地に太鼓判を押しています。また、作業効率が上がり、環境が整っていることで、社内での「見守り」ができているという声も。「会長、社長が母のように見守ってくれている」とエンジニアたちが口を揃えて言います。
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会長「技術者って、突き詰めたい性分の人も多いので、あえて口を出していないんです。ただ、どんなことがあっても見てるし、私たちは近くにいる。いつでも助けられる体制ではいておこうと思っています」。