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2024.05.20 8
街と街をつなぎ、経済と人々の暮らしを支える、力強くて美しい橋。 その橋は、単に2 つの場所をつなぐ役割だけでなく、 時に美しい景観を創り出す街のシンボルとして、多くの人から親しまれる存在です。 橋梁設計は、新しい橋を創り出すだけでなく、 既設の橋の老朽化を防ぐため、補強や補修など維持する役割も担っています。 英語圏で橋梁設計は“Civil Engineer”と呼ばれますが、 市民にとって一番身近なインフラをつくり、維持していく 橋梁設計の仕事を、一緒に紐解いていきましょう。 PLOFILE株式会社ハイデザイン 代表取締役 杉永孝太(すぎなが こうた)氏 技術士(総合技術監理部門・建設部門)/コンクリート診断士 1995年に発生した阪神・淡路大震災で多くの橋梁が被害を受け、都市機能が麻痺するところを目の当たりにし、橋の重要性を実感。強くて美しい橋をつくりたいと思ったのが、橋梁技術者へと進むきっかけです。技術士の資格を取得したことを機に、夢だった独立を決意。今から約5年前の2020年に、同じ職場だった杉田氏(現・統括部長/測量士)と一緒にハイデザインを設立した。直近の目標は、元請企業として橋梁設計の全工程を担うことと、売上高3億円を達成することです。 [DSC_1720.jpg] “建設業界における橋梁設計とは?” [1.png] みなさんは、「建設」「建築」「土木」の違いが、わかりますか。 特に「建設」と「建築」は、よく似た言葉なので混同されがちですが、言葉の意味は全く異なります。建設業は、建築物や土木工作物を建設する仕事です。「建築業」と「土木業」は「建設業」の一種で、その中に含まれることになります。では「土木業」とはどういった仕事でしょうか。 答えは、土石・木材・鉄材・コンクリートなどを用いて、道路・橋梁・トンネル・ダム・鉄道など、土木工作物の新設・補強・補修などを行う仕事です。海・川・山などの自然を相手に社会基盤を支えるスケールの大きなモノづくりが特徴ですが、私たちが専門に扱っているのは、その中の橋梁になります。 河川、渓谷、道路、鉄道などの上方に輸送路を設けるためにつくる構造物で、街と街、人と人を結ぶ重要なインフラのひとつです。時に街のシンボルとして多くの人を魅了する橋梁の設計に、挑戦心や創造力を掻き立てられる技術者は少なくありません。そして本音を言えば、私もそのうちのひとりです。 みなさんがこの世に生を受けるずっと前から橋梁や道路、トンネルなどのインフラは存在していますが、これらがどのように作られ、使用されてきたのかを改めて考えてほしいです。     “橋梁設計とはどのような仕事?” 橋梁設計の仕事は、大きく分けて3つあります。新設橋梁の設計と既設橋梁の補強設計、そして補修設計です。それぞれの仕事の大まかな流れを見ていきましょう。    [1.png] <新設橋梁の設計> 1) 橋長(きょうちょう)の決定 道路計画書に記載されている地形および線形により橋台位置を決め、橋の長さを決定します。 ↓ 2) 上部工形式の検討 橋の構造は上部構造と下部構造に分かれますが、人や車などの交通を直接支える主桁、床版などに用いる材質など上部構造について比較検討を行います。 ↓ 3) 下部工形式の検討 上部構造を支える基礎や橋脚、橋台などについて最適な構造形式を検討。決定された内容に基づき、詳細設計(設計、図面、数量)を作成します。 ↓ 4) 仮設(施工方法)の検討 決定した詳細設計に基づき、施工の条件や工程を決めて、施工計画を作成します。   [2.png]   <既設橋梁の補強・補修設計> 1) 既往資料の収集・整理 設計図書や竣工図、補修、補強履歴、立地条件などを収集・整理するところから始まります。 ↓ 2) 現地踏査 調査計画書を作成する前の下見として、現地に行って橋梁周辺の状況について確認します。 ↓ 3) 調査計画書の作成 現地調査を行うために、調査項目や工程、実施体制などを検討し計画書を作成します。 ↓ 4) 現地調査 各種構造寸法の確認や配筋情報の確認、地盤情報の確認などを行います。現地の状況が不明なままでは正確な設計ができないので、設計には欠かせない工程です。 ↓ 5) 調査報告書の作成 現地調査の分析結果をレポートにまとめて、関係者と共有します。 ↓ 6) 現行基準に対する照査 現行基準で目標とする耐震性能に対し、既設橋梁の耐震性能を照査します。 ※補修設計にはこの工程がありません。 ↓ 7) 工法検討 地形や周囲の環境、作業員の安全性などを加味した上で最適な工法を決定します。 ↓ 8) 詳細設計 補強対策や補修が必要と判断された場合、橋脚等の部材補強や橋全体の構造系変更を検討し、耐震性能を満足させるよう設計します。 ↓ 9) 施工計画・工費の算出 決定した詳細設計に基づき、施工の条件や工程を決めて、工事費を算出します。   橋梁設計においては、現地調査だけ、設計だけと、ひとつの工程を専門に行う会社も多いですが、調査から分析、設計、施工までの全工程を1社で行えるのが私たちの強みです。橋を根こそぎ知り尽くした上で設計するからこそ、自信をもってやれるし満足したものが出来あがる。橋梁設計のスペシャリストを目指す上で、最初から最後まで携われるこの環境は、理想と言えるでしょう。   “橋梁設計において必要なスキル・身につくスキルは?” [DSC_1673.jpg] あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、橋梁設計を行う上で目指すべき資格は「技術士」です。文部科学省認定の技術部門の業務を行える国家資格で、産業界におけるニーズも高いです。その「技術士」になるための前段階として設けられているのが「技術士補」。技術士を補助する位置付けをもった資格で、ここから挑戦していただくことになるでしょう。 また、建設コンサルタント業務に活かせる資格として、建築・土木業で注目を集めつつあるのが「RCCM」。民間資格ではありますが、取得すれば土木工事に関わる専門職としての知識や技術に長けた「管理技術者」・「照査技術者」として業務にあたることができます。 コンクリートの劣化の程度を診断し、維持管理の提案などを行う「コンクリート診断士」は、多くの建設分野で重用される資格で、活躍の場がどんどん広がっています。資格以外にも、設計に関するスキルはもちろんのこと、建設業全般で重宝される耐震スキルやCAD技術なども身につきます。   “橋梁設計の重要性とその魅力とは?” [2.jpeg] みなさんは、高齢者の増加が懸念される「2025年問題」をご存知でしょうか。75歳以上の人口割合が増え、極端な少子・高齢化が進み、建設業における人手不足に拍車がかかると懸念されています。また、高度経済成長期に集中的に整備された道路・橋梁・トンネルなどの社会インフラが今後急速に老朽化し、2029年には全国にある約72万の橋梁のうち5割以上が建設から50年を経過すると言われています。 一方で人口減少や高齢化による人口問題を解決するため、日本各地の自治体で取り組まれているのが「コンパクトシティ政策」。コンパクトシティとは集約型の都市で、インフラなどの都市機能をできるだけコンパクトにまとめ、お金をかけないようにしましょうという政策です。 これによる影響で、新規工事は今後減少するかもしれませんが、人口減少による人手不足と加速する施設の老朽化で橋梁設計は、超売手市場に。あなたが将来手にするかもしれない橋梁設計の技術・スキルは一生ものの力となるはずです。   “協働する人とAI。進化する橋づくりの現場とは?” [3-3-2.jpeg] AI技術の発展により、さまざまな業界でAIを活用する動きが加速しています。建設業界も例外ではなく、人手不足が進行する中、AIによる建設機械の自動運転や、ロボット・ドローンなどの導入で従業員の負担軽減や業務効率化に成功した企業も増えてきています。 現在、私たちもドローンを使用した現地調査を検討中ですが、AIやドローンはあくまでも補助的な位置付け。橋を根こそぎ知り、大事な決定や取捨選択は、自分たちで行うというスタンスは変えずに、ドローンなどによる部分的な補助を拡大していくことで業務の効率化を進め、人がより力を発揮できる環境へとシフトしていこうとしています。 調査から分析、設計、施工までの全工程に携われる環境で、橋を知り尽くした技術者だからこそ挑戦できる橋梁設計に、ぜひ挑んでほしいと思います。
 
2024.05.16 1
従業員10名未満の橋梁コンサルタント会社です。 設立5年目の比較的新しい会社で、 高い技術力と柔軟な対応力が私たちの強みです。 社長を含め、みんなが同じフロアで仕事をしているので 社内の意思疎通はとてもスムーズ。 ここでは、社員がぐんぐんと成長する、その訳をご紹介します。   “「スピード」と「柔軟性」が両立する職場” 大規模で縦割りの組織だと意思決定までに、いくつものプロセスを経る必要がありますが、当社は少数精鋭の組織なので意思決定のスピードが速く、若手から裁量をもって活躍することができます。それゆえ社員の成長スピードは桁違い。若いうちから幅広い経験を積めるので、着々と腕を磨いていくことができます。 また、ルールに縛られない柔軟な組織なので現場の意見が通りやすく、自立的に働きたい方には最適な環境だと思います。「必要であればリモートワークを取り入れてもいいよ」と社長が言うように、働きやすい職場環境をみんなで一緒につくっていきましょう。 [DSC_1901.jpg]   公平な評価で社員の挑戦意欲を後押し 前職で体験した出来事が影響していますが、「頑張った人が報われる会社にしたい」というのが社長の想いであり口癖。「上司に気に入られたから得をする」のではなく、「成果を出した者にきちんと利益を分配しよう」というのが経営トップの考えです。 そんな組織ですから私たちにとっても納得感があり、挑戦意欲も湧いてくるので、成長スピードは自然と速まります。 [DSC_1697.jpg]   特殊案件に強く、仕事が次々とやってくる 橋梁設計を専門に行う当社の特徴は、調査から設計・施工までの全工程を総合的に行えるところです。また、橋梁は架設地点の地形(河川・渓谷など)や利用状況(道路・鉄道など)によって、設計に必要な技術・スキルが異なってくるので、会社によっては「道路橋はできるけど、鉄道橋はできない」など、得意・不得意が出てきます。 私たちは、どのような地形や利用状況にも対応できるだけでなく、河川と鉄道を同時に横断するといった特殊な案件にも対応できるので、社内には豊富な実績やノウハウが蓄積されています。 それらは技術継承に役立つだけでなく、新たな受注へとつながっているので、社歴や役職に関係なく早い段階から貴重な案件に携われるのが当社の自慢。「いろんな経験を積みたい」「早く成長したい」という方におススメの職場です。 [4.png]   知識やスキルを段階的に磨いていける 調査・分析から設計・施工までを担当するとなると、すごく大変な印象をもつ方もいるかもしれませんが、何も恐れることはありません。まずはひとつの工程を担当し、それができれば次の工程を担当するといったふうに、段階を追って知識やスキルを磨いていけるので、無理なく成長することができます。 また、最初は分断されたスキルも、いずれはひとつの集合体として自分の中でつながるので、その時は全工程を担うゼネラリストとして活躍することができます。現地調査や構造計画など、ひとつの工程を極めてスペシャリストとして活躍したい人がいれば、それを全力で応援する風土もあります。 [DSC_1996.jpg]   社員のキャリアビジョンを応援する社風 せっかく育てたのに戦力になった途端に社員が独立。そんな状況を嫌う会社もありますが、当社はそうではありません。「独立起業して、設計者としてだけでなく経営者としての力も試したい」と社員が望むのであれば、あえて囲い込むことはしません。 新たに事業パートナーとしての関係性を構築して送り出し、共に成長できる道を探りたいと考えています。それが叶うのがこの仕事のよいところ。独立する・しないは別にして、真剣に挑めば将来独立できるだけの技術力が身に付く職場です。 [DSC_1745.jpg]