実は学生時代は料理に関心がなく、プロのサッカー選手を目指していました。周囲の強豪を見て自分はプロになれないと諦めたとき、これまで自分を支えてくれた家族に感謝の気持ちが芽生え、料理人になろうと決めたのです。辻調理師専門学校を卒業し、「このまますぐに家業に就くと甘えてしまう」と思い、あえて厳しい京都の料亭で働くことにしました。和食の調理法のすべてを身につけるまで家には帰らないと決め、8年間修業をし、晴れてこの店で料理をすることになったのです。身につけた京都の懐石料理と、先代料理長がつくった大阪の和食、どちらのいい部分も採り入れながら日々、当店ならではの味を追求しています。
UPDATE:2024.07.15
この店の特徴は、お客様の様子を厨房から見ることができる構造ですね。ですからどんなに忙しくても、「料理を喜んでくださっているだろうか」「なにか要望があるのでは」とお客様の表情を見るよう気にかけています。お客様から「おいしかった」とお声をかけてもらえると、調理師をやっていてよかったと思いますね。料亭時代は厨房とお部屋が分かれていて、そういった経験はなかったので。反対に、お客様から見られている緊張感もあります。手を抜いていたり、掃除を怠っていたりすると「こんな場所で料理をつくっているのか」と呆れられてしまいますからね。そうならないためにも、常に清潔な環境を心がけています。
UPDATE:2024.07.15
ぜひ「料理が好きで、向上心を持ち、やる気のある方」と一緒に働きたいですね。そういう方には、私が知っているすべての技術を教えますし、なんでもやってもらうつもりです。今、カナダから来た19歳の男の子が厨房でアルバイトをしています。和食に興味を持ち、勉強のために来日したのだとか。彼とは翻訳アプリを使いながらコミュニケーションをとっています。馴れない日本の環境のなかでも、彼はひたむきに料理と向き合い、どんどん腕が上達しています。向上心とやる気があれば、料理は国境を越えるんですね。皆さんも学生時代から「これはどんな味だろう」「どう調理しているのかな」と意識すれば、きっといい調理師を目指せると思います。
UPDATE:2024.07.15