建物を体でたとえるなら、水道や空調、電気といった設備はいわば血管。
建物が利用できる状態に持っていくための「心地」「快・不快」を担います。
そんな設備における施工管理とははどんな仕事でしょうか?
和歌山市で設備の施工管理を行っている「株式会社シンコウ設備」の業務内容から、その実態を伺います。
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シンコウ設備の設備工事の流れ
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「設備工事」と聞くと、どのような工事を行うのか想像できますか?
キッチンやお風呂などの水道、冷暖房、各部屋の電気などが思い浮かぶかと思いますが、ここではもう少し詳しく見てみましょう。
一般的な家屋を例に挙げます。
水道といえばお風呂やキッチン、トイレ、洗面・洗濯機周り、お風呂、ガーデンパンなどを想像しますね。
「給水」と「排水」。
「給湯」も加わります。
そしてお湯を沸かすためのガス周り・電気周りの管工事も担当します。
また、最近お風呂には追い炊き機能がついていることが多く、追い炊き用の配管(循環の2本)や機器の設置も加わります。
また、浴室乾燥機を温水で行っていることも多く、必要に応じてそのための配管・機器設置工事も必要になります。
さらに、床暖房を設置する建物の場合は、お部屋の床下にも配管が必要。
床暖房は温水で行うため、床下にくねくねと蛇行型に配管を通さなければいけないのです。
次に空調。
換気設備では給気・排気の2つのパイプ工事を行い、冷暖房の設置をする際には、エアコンの室内機と室外機を結んで熱気を吸い取るための冷媒ガスを通す工事、空気中の水分を流すドレン配管の工事を行います。
最後は電気工事ですが、各部屋の電気、スイッチなどの配管と機器の設置が主な業務です。
シンコウ設備では専門業者に委託することが大半となっています。
設備工事は、建築本体・内装・外構工事を除くと負担が大きく、基礎工事の段階から引き渡し直前まで長期にわたって携わるという点でも、1つの建物で幅広い部分を担う仕事なのです。
ここが建築工事と違う!設備の特徴
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設備工事は、最終的には人の目につきにくい場所が主戦場となります。
天井裏や壁の裏、床下といった部分に管を通し、建材で隠されてしまうのですが、そこではさまざまな配慮が必要になります。
仕様が決まると施工管理の担当者は、図面を描く作業を行います。
全体図を見て、設備工事が必要な部分における設備工事のための図面を描くのですが、それには構造図と意匠図を見て、全体図と整合性が取れているかを確認したうえで、寸法的に配管が入るルートを考えていきます。
天井を高く取るデザインだと天井裏のスペースは狭くなり、配管ルートの確保も難解になるわけですね。
配管が入るスペースを確保したうえで、機器に対してのルートを考えねばなりません。
そのうえで、「管同士がぶつからないように」「排水は上から下へ斜めに流さなければいけない」などといったルールを守って、ルートを見つけていきます。
管同士がぶつかると、温水の温度が変わる、劣化が進行するといったリスクができてしまうので、さまざまな配慮をしながら設計していきます。
作図段階でルートの確保が不可能な場合は、壁や天井の高さを調整する依頼や提案を行うのも、施工管理の役割といえます。
設備工事をより深く知ろう
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昭和初期、キッチンは「台所」と呼ばれ薪を使って火を焚き、井戸水で調理をしていました。中期になり、ガスコンロが普及し水道が整備され、1970年代頃からシステムキッチンへと進化していきました。給湯器や換気扇が取り付けられていったのはこの頃からです。
現在は、より高性能になり、IHクッキングヒーターや浄水器、食洗器などが、一般的に見られるようになっています。
このように、人が快適で幸せに暮らそうと思うニーズは、家電設備や住宅設備の進化につながっていきます。
常に新しい機能を持つ最新機器が登場し、その都度設備工事もアップデートされていっているのです。
設備工事は人が快適に過ごしたいと思う以上、欠かすことができない仕事だと言えるのではないでしょうか。
これから先も、「キッチンにこんな機能があればいいな」「お風呂でこれができるといいな」などという願いをかなえた設備が生まれていくに違いありません。
社員に聞く!この仕事の面白さ
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この仕事のやりがいは?とシンコウ設備の社員さんに聞いてみると、圧倒的に「ありがとうと言われること・感謝されること」と挙がってきました。
圧倒的獲得票数でもはや殿堂入り。
ではそれ以外の「おもしろいと感じているポイント」や「魅力」「やりがい」は?
個性で少し分かれる意見が挙がりましたのでご紹介します。
「どれだけ長く携わっていても新しい機器が登場する。時代にアジャストしながらアップデートしていくこと」
住空間の快適さは技術の進歩を呼び起こします。
常に最新機器が登場する業界で、自分も進化・成長していくことができることは大きなやりがいにつながります。
「最初に施工した設備が、メンテナンスの際にお客様に迷惑かけずに使用されていたことがわかると嬉しい」
メンテナンスまで行うシンコウ設備では、最初に施工した自分たちの仕事を、メンテンスで確認することがよくあります。
不具合なく稼働し、メンテナンス時期までお客様に迷惑をかけていないことに胸をなでおろし、次のメンテナンスに備えて誠実に仕事を行います。
「更地から試運転まで携われること。完成したときは達成感がすごい」
ものづくりへのストレートな喜び。
完成した喜びは何事にも代えがたい達成感を味わえます。
「職人さんたちが作業しやすくなるよう考えて提案すること。提案が通ると嬉しいです」
綿密に考えて作図をしても現場の状況で変わってしまうこともあります。
職人さんと円滑にコミュニケーションを取れる環境づくりは、施工管理の大きな仕事。
職人さんたちが少しでも作業しやすくなるよう、思いやりを持つことで、職人さんたちも協力してくれる関係性が構築されやすくなります。
「ルートを確保するだけでなく、キレイかどうかも考えています。機器の設置も、木目の幅やデザインとの調和を考えています」
配管がうまくできたら、次のステップは美しさ。
ベテランに近づくほど、目に見えない配管部分が整っていること、目に見える機器の設置で、インテリアやデザインと調和していることなどを考えながら、ミリ単位のズレに配慮することもプロフェッショナルとして大事な要素といえます。
学生さんへのメッセージ
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設備工事の種類や内容を説明しましたが、いかがでしたか?
建物全体からみると、目立たない業務ですが、たくさんの種類の工事があり最初から最後まで携わることができる仕事です。
経験を重ねていくにつれ応用できる知識・スキルが着実に身に付く一方で、常に最新技術と向き合っていく仕事でもあります。
こだわりをもって成長できる設備工事。
ぜひ興味を持ってみてください!