ベテラン社員に学ぶ、プロの仕事術

2021.01.19 26
鈴木興業株式会社は、送電鉄塔工事、通信鉄塔工事等を行っています。
現在、送電鉄塔は全国的に老朽化が進んでおり、建て替え需要が半永久的に続くと言われる業界です。

送電鉄塔工事に30年以上携わってきた工事部長の古澤久典さんに「プロフェッショナルとしての仕事の向き合い方」について聞きました。



「安全にいいものを納期内に納めたい」というのが、プロ意識

鈴木興業株式会社は、父が前社長とともに起業した会社です。私は文系大学出身でオフィス機器の営業をしていましたが、30年ほど前に、会社が地中送電の分野に事業拡大するタイミングで声がかかり入社しました。
この仕事は資格を必要とする作業が多く専門的な知識と技術が求められますが、景気に左右されることがないため、プロとしてじっくり腰を据えて学び、成長できる仕事でもあります。
電気、土坑、鉄骨の組立て、測量など手がける分野が多種多様なぶん、一人前になるには5年かかります。10年経てば、現場責任者として大きな現場を動かすことができるようになるでしょう。そうなるとプロ意識が芽生え、仕事はどんどん面白くなってきます。
今回は、私自身が仕事を通して得た「プロの仕事術」についてお話します。
 

「楽する」ことを真剣に考える
ベテランになればなるほど、「楽な仕事の仕方」を身につけています。しんどい仕事をしんどいようにするのではプロとは言えません。楽に仕事をするために「工夫」する姿勢が大事です。スコップを持って土を掘るにしても、掘り方があります。「楽にする」ために、先輩にアイデアをもらったり自分で工夫したりして、試行錯誤しながら経験を積みましょう。

「資格試験」に挑戦する
資格取得は費用面を含めて会社がしっかりサポートしますが、取得した資格は自分のものです。会社の枠を超えて、どこに行っても「自分の能力の証」として通用します。
当社では、仕事に必要な資格が多く、さまざまな資格に挑戦できます。試験勉強は大変ですが、挑戦することで「まだまだ覚えたい」という意欲がわいてきて、仕事のモチベーションにもつながります。



失敗を恐れず、上をめざす
一回の失敗は誰も咎めません。それよりも、思い切ってやることの方が大切です。この仕事はベテランになったからといって慣れるものではありません。常に失敗を恐れず挑戦する姿勢が、自分の能力を引き上げてくれます。最近は、若い人に現場責任者を任せて先輩社員がフォローにまわる体制をとっています。「若手」ではなく「責任者」として取引先から見られることで、プロの自覚が持ちやすく成長につながるのではないかと思います。



逃げるのは簡単だけど、逃げたら終わり
災害や事故などで工事が止まったり、それでも納期が動かせなかったり、台風と事故がダブルパンチで来たり…この仕事にトラブルはつきものですが、「何があっても逃げられない」のがプロ。逃げたいと思うこともありますし、逃げるのは簡単なのですが、逃げたら終わりです。トラブルに見舞われるたびに心も身体も鍛えられます。

「怪我がなければ必ず仕事は前に向かって進む」と腹を据える
私たちの仕事において安全が一番であることは言うまでもありません。1日無事に仕事が終わって家に帰れたら、まずはそれが一番。その上で、「スケジュール通りに進んでいるか」「遅れているならどう取り戻すか」を考え、解決していく。それを繰り返していると一年なんてあっという間です。



 誰でも、やってやれないことはない。できる環境を与えたい
 
これまでの30年、仕事で大変だったことはたくさんあります。
現場で事故があり、昼に対策会議、夜は現場作業という日が4週間続いたことも。そんな時も、体は辛かったけれど不思議と「休みたい」という気持ちはありませんでした。「逃げずに立ち向かう」のがプロの仕事です。何とか終わらせたときには、ほっとして3日間寝続けましたが(笑)。



振り返ると、これまでいいことも悪いことも経験して、その度に周囲の人に助けてもらって成長し続けることができました。誰でも、やってやれないことはありません。でも、勉強してわからないことは身につきません。私の場合は、わからない時にとことん教えてくれる人たちがいて、窮地に立った時に助けてくれる人たちがいた。人に恵まれたからうまく吸収できたと思います。
これからは人材を育成する立場になりますが、そんな環境を含めて継承していきたいですね。