近年、老朽化が進むインフラ構造物の増加に伴い、土木補修や耐震工事の需要が高まっています。これらの工事は、長期的な視点で地域社会の持続を支える基盤であり、社会全体で必要性を認識し、適切な投資と計画を行うことが求められています。
今回は水中と陸上の両方からインフラを支えている【ゼロ建設工業株式会社】の事例を通して、これらの工事の重要性とその効果をみていきましょう。
【ゼロ建設株式会社とは?】
国内でも数少ない、水中工事と陸上工事の両分野に強みを持つ建設会社。大阪を拠点に橋梁工事、海洋土木工事・調査全般を手掛けています。現在、地盤改良や補強工事で広く用いられている「PRISM工法」の開発にも参画し、高い技術力で全国に実績を残しています。2003年創業、本社所在地は東大阪市です。
代表取締役 中山惠司さん
子供の頃から海が大好きで、スキューバダイビング仲間の紹介を機に潜水士になり建設の道へすすみました。みずから潜水しての水中工事には25年の経歴があります。趣味はマリンスポーツとゴルフ。
水陸からアプローチする橋梁補修ってどんな工事?
橋梁(橋)は、都市や地方をつなぐ交通の要所です。毎日、数多くの車両や歩行者が橋を利用し、その安定性と安全性は社会の基盤に直結しています。しかし、橋は時間の経過とともに劣化し、構造的な弱点が生じることがあります。これを放置すると、重大な事故につながる可能性があるため、定期的な点検と補修が不可欠です。
ある橋脚補強工事の事例をみてみましょう。
【施工前】
ドライアップ(水抜き)
まずは橋脚周辺の水を遮断するために鉄製の丸い枠を橋脚の周囲に沈め、川底に水中コンクリートを打設します。その後、コンクリートが固まり止水が完了したら、枠内の水をポンプで排出します。これにより内部は乾燥した環境となり、橋脚の補強作業が安全かつ効率的に行えるようになります。
補強作業
橋脚の周りに鉄筋を組み、そこにモルタルを吹きつけて厚さ70ミリのコンクリート膜を作ります。さらにクラック(ひび)や錆びを防止するための塗装を行います。川の中の工事には、水の流れや川幅に支障が出ないよう、必要最小限の範囲での設計・施工が求められます。
【施工後】
水中の橋脚の水深は10メートル以内が一般的ですが、ダムなどでは30メートルに達する現場もあります。
海のインフラ、港湾の補修ってどんな工事?
港湾は、物流や貿易の拠点として、国の経済活動を支える重要な施設です。港湾土木工事では、埠頭、桟橋、防波堤、護岸、浚渫(しゅんせつ)、埋立など、船舶が安全に利用できる港湾インフラの建設や整備が中心となります。これらもまた、潮の満ち引きや海水の塩分による腐食などの影響を受けやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。
こちらは、ある岸壁補強工事の事例です。
【施工前】
岸壁(がんぺき)は、海に面した壁状の構造物で、船舶が接岸し、貨物の積み下ろしや人の乗降を行うための施設です。港湾施設の中でも特に重要な役割を果たし、船舶と陸地を結ぶ橋渡しの役割を担っています。岸壁の設計には、船が海底や岸に接触しないよう工夫が施されており、比較的水深の浅い港湾や河川沿いの護岸では、この現場のように鋼矢板を打ち込んで作る「矢板式岸壁」が採用されることが多いです。
また、補修・補強工事には主に以下の方法が用いられます。
コンクリート被覆
矢板の劣化が進んでいる場合、腐食部分を除去した後、コンクリートで被覆・拡幅して補強します。これにより、鋼材を保護し、構造物全体の耐久性を向上させます。
↑コンクリート被膜 水中検査の様子
FRP被膜
繊維強化プラスチック(FRP)を用いて、矢板の表面に新しい保護層を作成します。FRPは耐久性が高く、腐食に強いので、特に海水によるダメージからの保護に適しています。
【施工後】
岸壁の補修・補強工事は、安全性向上や耐用年数の延長だけでなく、コンクリート片や錆の流出防止、環境保護にも寄与します。これにより、港湾インフラの信頼性が高まって利用頻度が増えることにより、長期的には経済効果にもつながります。
学生さんへのメッセージ
最後に中山社長から学生のみなさんへメッセージをいただきました。
「橋梁工事、湾岸工事、いずれの工事も、社会インフラの維持に欠かせない重要な役割を担う仕事。古くなった橋や施設がきれいになっていく過程をみるのは面白いですし、“自分たちの手でインフラの寿命を延ばしている”と自負できるやりがいは大きいです。橋梁の補修や補強を手掛ける会社は多いですが、水中部分の工事まで自社で行う会社は非常に少なく、その点でも我が社が果たすべき役割と使命は大きいと感じています。他にはない強みを持つ会社で実力を磨きたい、楽しく仕事をしていきたい方は、是非私たちの仲間に加わってください。歓迎します!」