創業から百余年、現在は道頓堀、西心斎橋(アメリカ村)、百貨店内に4店舗を展開している黒毛和牛料理の老舗【はり重】。すき焼き・しゃぶしゃぶ・洋食で食す“はり重の肉”は「とにかく美味しい」「いつ食べても間違いのない味」と、多くのファンを魅了しています。
“はり重の肉”はなぜそれほど美味しいのか? 今回はその理由にクローズアップしたいと思います。
創業以来変わらない、独自の仕入れと肉の熟成
いちばんのこだわりは黒毛和牛の雌牛のみを使っている点。産地にはこだわらず、その時に一番良い状態のものを、社長と会長が独自の目利きで一頭買いしています。その後は自社の巨大貯蔵庫で、およそひと月熟成。ベテランの職人さんが肉の状態を見極めて解体し、料理の用途に合わせて整形を行います。
「雌牛がなぜ美味しいのか、熟成させるメリットなど、今でこそ科学的に解明されていますが、100年前から“こうしたら美味しくなる”と、経験と五感を頼りに“はり重の肉”を進化させていた初代はすごいと思います」と語るのは、4代目の藤本有吾社長。現在はより多くの人に“はり重の肉”を知ってもらいたいと、美味しさの理由を発信することにも力を入れているそうです。
肉の良さを最大限に引き出す、伝統と工夫
選りすぐりの上質肉を最も美味しく味わっていただけるよう、調理法や味付けにも創業以来からの工夫があります。牛骨を丁寧に炊いて寝かせ、独自の配合で味付けをする割下は、今も当時のレシピで手作り。デミグラスソースも同様、はり重の肉に合う味を何十年と守り続けています。
時代を超える普遍的な美味しさは、隣接する大阪松竹座を訪れるジャニーズファン世代からも好評とのこと。また近年では、社長と若手スタッフが中心となり、街のイベントに出店。「焼肉ラップサンド」や「ミンチカツボール」などワンコインで楽しめる商品を企画し、気軽に“はり重の肉”を知ってもらえるような取り組みも行っています。
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「なんか知らんけど」と、食べた人を虜(とりこ)にする“はり重の肉” その美味しさの背景には、「美味しいものを食べてもらいたい」という、代々の経営者や料理人の情熱が息づいているんですね。
最後に藤本社長から、学生のみなさんにメッセージをいただきました!
「入社後は専門学校での学びや“はり重”での経験、若い人ならではの発想を活かして、“はり重らしくないのでは?”という分野にもどんどんチャレンジして下さい。こだわり抜いた“はり重の肉”を使って、みなさんがどんな料理を作ってくれるか、今から楽しみにしています。一緒に楽しく、新しい伝統を創っていきましょう!」