普段何気なく目にしている街中の建物や、自分の家の外壁。
実はそこに、危険な「劣化のサイン」が隠れているかもしれません。
そこで今回は、放置すると大きな事故につながりかねない建物からのSOSをクイズ形式でご紹介!
みなさんは何問正解できるでしょうか?
お話をうかがったのは……
リフレックス株式会社(本社:大阪市都島区)
1946年(昭和21年)創業、マンション等の大規模改修を中核とし、公共建造物の塗装工事などを通して、多様化する「住」のニーズに応える建設会社です。
代表取締役 別所 亨 氏
それでは、いきましょう!
問題①:「このひび割れ、放っておいても大丈夫?」
A. 見た目だけの問題だから放置してOK
B. 雨水が入り込み、内部鉄筋を錆びさせる危険がある
C. 夏になると自然に消える
正解:B
外壁の細かいひびは「ヘアークラック」と呼ばれます。小さな傷でも雨水が入り込むと鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを押し割る危険があります。補修は軽症のうちに行うのが大切です。
問題②:「この天井のシミ、何を意味している?」
A. 単なる湿気。自然に消える
B. ペンキの色ムラ
C. 外部からの水漏れの可能性あり
正解:C
天井のシミは水漏れが原因であることが多いです。屋上の防水劣化や外壁のひび、上階の配管トラブルなどが考えられます。塗装で隠すだけでは再発するため、まずは原因を突き止め、防水・補修を行ってから内装を直す必要があります。
問題③:「この黒い色の筋はなに?」
A. ペンキの色落ち
B. コンクリート内部の鉄筋が錆びているサイン
C. 子どもの落書き
正解:B
写真に見えるのは、コンクリートから鉄筋が露出している「露筋」です。鉄筋が空気や水分に触れると錆びて膨張し、やがて周囲のコンクリートを押し割って「爆裂」と呼ばれる現象につながります。爆裂が起きるとコンクリート片の落下など危険を伴うため、早めの補修が必要です。
問題④:「外壁タイルの劣化は、叩いた時の“音”でチェック!要注意なのはどんな音?」
A. 「カラン」「カンコン」
B. 「コンコン」「トントン」
C. ほとんど音がしない
正解:A
外壁タイルは、劣化が進むと下地との間にすき間ができ“浮き”が起こります。しっかり接着している部分は詰まった音ですが、浮いている部分は軽く響くような音になります。放置すると落下の恐れがあるため、打診調査で早めに見つけることが大切です。
問題⑤:「この白い粉の正体はなに?」
A. 塗装の劣化で顔料が粉状に出てきている
B. 壁がカビて粉をふいている
C. ペンキ塗りたてで乾いていない
正解:A
これは「チョーキング現象」と呼ばれる劣化サインです。紫外線や風雨によって塗料が分解され、顔料が粉状になって表面に出てきます。防水性能が落ちているサインでもあり、塗り替えの目安になります。
⑥:「外壁の劣化調査では、塗装や浮きだけでなく“ある部分”のチェックも重要です。さて、何?」
A. 壁のニオイ
B. 壁の目地
C. 外壁の色合い
正解:B
線にように見えるのはデザインではなく、コンクリート壁同士のつなぎ目。ここにシーリング(外壁やサッシ周りなどの隙間に充填し、建物の気密性・防水性・耐久性を高める材料)が打ち込まれています。紫外線や雨風で劣化すると、ひび割れや剥離が起こり、そこから水が浸透するので、定期的な打ち替えが欠かせません。シーリングは外壁だけでなく、窓枠や玄関ドアのまわりにも使われており、建物を長持ちさせるための大切なポイントです。
問題⑦:「工事したばかりなのに、壁の表面が凸凹になってるのはなぜ?」
A. 工事の仕上げが悪かった
B. 壁を補修したため厚みが出ている
C. 水の通り道なので塗料を厚く塗っている
正解:B
外壁補修ではモルタルで欠損や爆裂部分を補修するため、元の壁より厚みが出てしまい、その部分が凸になってしまうことが多いです。特に古い建物では補修箇所が多く、表面の凹凸を完全に消すのは難しいもの。これは手抜き工事ではなく、むしろ適切に補修を行った証拠とも言えます。
問題⑧:「マンションの大規模修繕工事。ベランダの補修作業をしようとしたら植木鉢が…どうする?」
A. 汚したり傷つけたりしないよう、邪魔にならないところへ移動させる
B. 勝手に触らない。住民さんに連絡して移動してもらう
C. 予定していた作業ができないので追加費用を請求する
正解:B
施工業者が勝手に私物を動かすと、破損や紛失などのトラブルになりかねません。必ず住民さんや管理組合に連絡を取り、ご本人に移動をお願いするのが基本です。高齢者などで難しい場合は了承を得た上でサポートするなど、事前の工夫も大切です。
問題⑨:「修繕工事中、住人さんとのコミュニケーションで大切なのはどれ?」
A. 工事の進み具合だけを説明し、雑談は避ける
B. あいさつやちょっとした雑談も交えて、信頼関係を築く
C. 問題が起きた時だけ対応すればよい
正解:B
大規模修繕は住人さんが生活する中で進みます。あいさつや雑談で信頼関係ができると工事も進めやすくなますし、「ありがとう」と声をかけてもらったり、感謝の手紙やお菓子をいただいたりすることもあります。
「人と関わる力」は、施工管理にとって欠かせないスキルのひとつです。
学生さんへのメッセージ
建物は時間の経過とともに劣化しますが、小さなサインを見逃さずに対応すれば、安全性や美観を守ることができます。
修繕は人々の暮らしを陰で支える大切な役割を担っており、多くの出会いや「ありがとう」との言葉に恵まれるとてもやりがいのある仕事です。あなたも
建物のトラブルサインを見抜く“名探偵”を目指してみませんか?興味のある方は、いつでも会社見学にきてくださいね。