「好きな時に、好きなものを食す」それが割烹本来のあり方。今日はたくさん食べたいなとか、今日はお酒とアテを一品、というように、その時の体調や気分に合わせて食事を楽しんでいただくことが私たちの仕事です。近年はコース中心のお店が増える中、作一は一貫してアラカルト中心のメニュー構成。手間暇はかかりますが、それだけに食材管理、調理、食事の場づくりと、オールマイティな実力を磨くことができます。
◎お料理の基は選りすぐりの水と食材
良い食材を腕の良い人が調理すれば、料理は一層美味しくなります。野菜はほとんど契約農家から。魚屋も馴染みの店を毎日4件ほどまわり、見て触って、これぞという一品を仕入れています。
出汁をとる水は、毎週車を走らせて山の湧水を採水。異なる4か所の水を比べて、一番昆布と相性の良い水を使用しているんですよ。常により良いものを、みんながその思いで試行錯誤を重ねています。
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◎お客様のニーズに応える腕と人間性を磨く
自慢の食材を使用したお品書きには、“「れんこん」の下に「まんじゅう・塩焼き」”というように、その日の食材に合わせたメニューがずらりと並んでいます。その数はなんと、150種類以上!それだけ多くの食材を使用しても、無駄は一切出しません。すべてお客様の口にお届けする、それが料理人の腕の見せ所でもあります。
また、常連様の中には年配の方も多いので、お気に召したものを少しずつお出しする、という配慮も欠かせません。こちらの都合ではなく、お客様の希望に合わせたお料理を提供する。そのためには、細やかな気配り、心配りができる “人間としての器” を磨いていくことも、料理人にとって大切な仕事なのです。
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◎真のご馳走に欠かせない“場づくりのスキル“
美味しい料理が真のご馳走となるためには、“誰と一緒に食事をするか” という場の雰囲気もとても大切です。「この店なら安心して食事ができる」 そう言っていただけるよう努力を重ねてきた甲斐もあり、作一のお客様はみなさん良い方ばかり。大阪という土地の人柄もあってか、お客様同士で話が弾む場面も多くあります。
料理の技術と同様、場づくりのスキルも一朝一夕では身につきません。入社して最初の1,2年はホールを担当しますが、この期間は“一流のもてなしとはどういうものか”を、目の前で学ぶことのできる貴重な時間。ご馳走とはどういうことか、体験を通じて感じ取っていただきたいと思います。
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料理には作り手の心が反映します。たった一杯の御煎茶でも、一口飲めばお茶を淹れた人がどんな心の状態でいたか、手に取るようにわかるもの。だからこそ自分を整えること、豊かな人間性を育むことを、作一では大切にしていきたいと考えています。共に一流の技術にふさわしい、一流の人格を身につけた料理人を目指していきましょう。
以上