これからの宿のロールモデル
「御宿 The Earth」は鳥羽の迎賓館としての役割を担ってオープンし、昨年15周年を迎えました。
この宿があることによって、さまざまなゲストがこの鳥羽に足を運び、「御宿 The Earth」をご利用いただきました。
もし、この宿がなければどうなっていただろう、と思うこともあります。
昨年15周年を迎え、今後「御宿 The Earth」の役割は次の段階に入っていく必要があると感じています。
「御宿 The Earth」は環境問題に配慮し、「21世紀の宿はこうあるべき」というメッセージを盛り込んだ宿です。
例えば、所有面積としては54,000坪ある土地ですが、実は5%しか開発しておりません。90%以上の原生の森を残置保存しているのです。つまり、宿を作ることによって森を守っていることになります。これは、宿ができることによって多くの森を守れるということを伝えたかったからです。
鳥羽に限らず、その他の地域でも同じように宿泊施設を経営する企業を迎えることによって土地が守られるようになったらいいなと思っています。
また、排水に関しても日本ではあまり見られない「浸透桝」を導入しています。
それにより、排水を敷地内で濾過し蒸発散させ、浄化させた上で自然に戻すことができています。実際に、このシステムを導入してから1年後に地元の方々と磯焼けも含めて近くの海を調査に行きましたが、全く影響はありませんでした。
日本は海に囲まれた国ですので、ぜひこの結果を持って、河川や海洋保全のためにも浸透桝の導入など検討していってほしいと思います。
さらに、16年目になる今まで生ごみを一切敷地から持ち出していません。100%バクテリアで分解しています。その残渣は堆肥として伊賀の農業法人に買い取ってもらっており、その対価を一部金として伊賀米を買うという循環システムを作っています。
加えて、現地でのCO2は今日まで全く出していません。一番火を使うのは料理やお風呂だと思いますが、オール電化にしています。そうすることで、ガスだとどうしても60%台になってしまう熱効率を、90%台にできています。
昨年は環境庁の取材もありました。15年を迎えやっとその辺りも認められたのだと嬉しく思います。
「御宿 The Earth」がこれからの旅館のロールモデルになっていってくれればと強く願うばかりです。
岐路を迎えた「御宿 The Earth」のこれから
鳥羽には150を超える宿があるのですが、その中で役割は何なのか。「御宿 The Earth」はここ1年、2年が岐路だと思っています。ハード整備も時間をしっかりかけてアップデートしていきますが、同時にソフトも変えていく必要があると思っています。だからこそ、人材投資が重要なのです。