テーマの概要
施工管理の仕事は「オーケストラの指揮者」とよく言われます。全くの更地から大小さまざまな建物を図面通りに、かつ予算やスケジュールに合わせて安全に作り上げていくために、施工管理一人では何もできません。
基礎工事や外構・内装をはじめ、給排水・電気・ガス・空調などの各種設備を施工していくプロの職人がいます。彼ら一人一人の持つ技術や能力をスムーズに発揮することによって、初めて建物が完成します。
そこで数多くの職人さんたちをまとめあげるのが、施工管理の仕事。
まさに様々な楽器を奏でるプロ演奏家たちをうまく指揮することで、壮大な交響曲を生み出す指揮者のような重要な役割を担います。
このテーマの学びの魅力とは?
多くの人たちをマネジメントする施工管理において、4つの重要なテーマがあります。
工程管理:工事スケジュールを作成したうえで、それに沿って工事が進行するように管理する業務。設計図のチェックや工事現場の確認を通じて、「どこの工事にどれくらいの時間と人が必要か?」などを計算します。思わぬトラブルによって工事の遅れが発生した際、調整するのも施工管理の仕事です。
品質管理:施工業者の作業内容を細かくチェックして、設計図通りに工事が進んでいるか確認する業務。限られた予算の中で質の高い施工を実現するために、ミスはないか?手抜き工事がないか?なども厳しくチェックします。現場においてしっかり自分の目で確認することが大切です。
安全管理:安全に工事が進むように、工事現場の安全確保を図ります。例えば足場の開口部から作業員や建材が落下しないように手すりを設置したり、毎日の朝礼で安全指導を行ったりします。
原価管理:工事全体のコストを抑えるため、材料の調達や工事費の管理を行います。会社に利益が出るように人工費、材料費を調整・交渉するのも重要な業務です。
事例研究
見た目が大事/とにかくメモをする/職人さんへの接し方etc.
高松建設の施工管理に必須とされるポイントから、学んでみよう
これから施工管理を目指す方に知ってほしいポイント5つ
現場監督/施工管理の仕事の中には、すべての仕事にも通じる大切な知識やノウハウが数多く詰まっています。
それに加えて施工管理の場合、特に重要なのは「安全」に対する意識や対応。
時には危険な作業も伴うからこそ安全第一で、なおかつスケジュール通りに高品質な施工を実現するためには、様々な点で常日頃から注意したり、周りの関係者とコミュニケーションを図るなど、基本的なルールを守ることが大切です。
そこで今回、創業100年を超える老舗建設会社「高松建設株式会社」で現在、所長として活躍する施工管理社員のご協力を得て、知ってほしいポイント5つをご紹介。
特に現在、建築分野を学んでいて、これからマンションやオフィスビルなど様々な建築物の施工管理/現場監督として活躍したいと考えている方は、ぜひチェックしてください。
【高松建設株式会社 プロフィール】
1917年の創業以来、累計5,000棟を越える建物を世の中に提供。
建物の建設を通して培ってきた研究・開発技術は、今日の集合住宅・オフィスビルなどの多種多様な建物に活かされています。
また「C&C」(consultant & construct company)という特長があります。
これはお客さまの抱えておられるお悩みや課題、トラブル(建築と関連性のないことも含め)を丁寧に解きほぐし、解決へのお役立ちを果たすというコンサルタント機能と、長年に亘って培ってきた設計・工事の技術力を両輪として、お客さまの事業を成功に導く力。それが同社の強みであるとともに、真のソリューション(問題解決)型建設会社として高い評価を得ています。
【ご協力いただいた社員のご紹介】
永山和樹さん(30歳)
麻生建築&デザイン専門学校 建築学科を卒業後の2016年、高松建設に入社。
現在、東京エリアにて所長として賃貸マンションの新築工事現場を統括している。
ポイント① 細かな整理整頓が命!いつも現場をきれいにする
工事現場は日々、様々な建築資材が運び込まれたり、また様々な工具や建設機械などを多くの工事関係者が使用することになるため、現場の作業環境を整備することは、安全かつ円滑に作業を進めるためにはとても大切。
毎日の整理整頓はもちろん、多くの人が行きかう通路や足場などに邪魔なものが落ちていないか?こと細かくチェックします。
仮に工具や資材が散らかっていれば、必要なモノをすぐ取り出せずに作業が遅延したり、また通路がゴミだらけなら、そのごみに足を引っかけて転ぶなど、けがにつながるリスクも。
私の経験上、優秀な施工管理社員や所長が担当する現場は共通して各種資材や工具などがきちんと整理整頓されていたり、通路や作業場にはごみや邪魔なものが一切なく、キレイな状態を維持しています。
ポイント② メモ魔しか勝たん!毎日言われたことをメモする
特に1年目は、毎日上長や先輩、そして各分野の職人さんとコミュニケーションをとる中で、様々な専門用語が飛び交います。
また「○○を○○に移して」など、具体的な指示を受けることが多々あります。
その際、当然ではあるのですがわからない言葉が多く、また指示内容を正確に理解していないケースがほとんど。
そこでお勧めなのは、まず言われたことでわからないこと、気になること、引っかかることが一言でもあれば、すかさずメモを取りその後、自分で調べたり、周りに聞くことです。
私が新人時代、1日10P以上をメモしたり、メモ帳に書いている余裕がないときには手の甲に直接書いていました。しかもすぐ消えないように油性ペンで。
メモを書き、自分で調べたり質問して、そこで得た知識を現場で生かす。
この繰り返しによって短期間での成長につながります。
ポイント③ 伝える以上に大切!相手の意見を引き出すテクニック
施工管理の仕事である種、最も重要なのは、現場で活躍する職人さんたちとの打ち合わせの場になります。スケジュール通りに既定の作業を安全に進めるためには、しっかり打ち合わせを行い、相手と意思疎通を図り、相互理解を深めることが大切。
しかし新人がよく陥りがちなのは、打ち合わせを「ふわっと」したゆるい感じで終わらせてしまうこと。そして自分の意見や指示を「一方的に」してしまうことです。
大事なのは、自分の意見を相手に伝えるだけでなく、相手の意見をうまく引き出すこと。
自分より職人さんの方が現場経験が長く、豊富なノウハウや知識を持っているからこそ、「このテーマについて○○さんはどう思います?」といったように、意見を聞き出してその内容を実際の管理に生かしていくことで、円滑に作業が進みます。
ポイント④ リスペクトから始める!職人さんとフラットな立場で関係を築く
施工管理はその名の通り、工事現場を管理する立場になります。
しかしその意味をはき違えている方もいて、実際に現場で作業する職人さんに対して「上から目線」で指示を出したり、高圧的な態度で接するケースも。
しかしそうした態度や失礼な言い方で接してしまえば、職人さんからの反発が生まれてしまい、実際の工事作業にも悪影響が及んでしまいかねません。
だからといって必要以上に相手を持ち上げる必要もありません。
現場監督として安全やスケジュールを守るため、絶対に伝えなければならないことや指示する必要がある場合には、毅然とした態度で接することも大切です。
このバランスをとるのが難しいのですが、困ったときには所長や部門長などの助けを得ながら、現場の打ち合わせに同席してもらって必要なサポートを受けることもできますので、遠慮なく声をかけてください。
ポイント⑤ 超難解パズルを完成させよ!図面が建物になるやりがい
最後にぜひお伝えしたいのは、改めて施工管理の仕事を選んで感じる、この仕事ならではのやりがい。
様々な図面から、十数階の高層マンションが形になるまでの全工程に関して、特に私たち高松建設の施工管理社員は深くかかわることができます。
その過程において、28業種ある様々な専門分野の職人さんと工程・スケジュール・予算・安全・品質など様々な観点から、どのような形で組み合わせるのがベストか?まるで超難解パズルを完成させるように試行錯誤を繰り返して、その答えを見つけ出します。
時にはミスすることもありますが、その経験や教訓も生かして次につなげていくことによって、無事に自分の目の前で竣工できたとき、言葉にならないやりがいや達成感、そして喜びを実感できるでしょう。
この世のすべてに役割がありますが、現場監督の仕事は、現場の主役である職人さんが、気持ちよく働ける環境を作ることにあります。
施工管理の仕事内容や役割、そして求められる資格について丁寧に解説しています。
社会人として上手に、そして早くメモを取るためのノウハウやヒントをご紹介しています。
現場監督して必須スキルとなる、現場での片付けや段取りのノウハウを丁寧に説明しています。