工場見学は、会社の技術や製造工程を直接学べる貴重な機会です。今回は、水門メーカー斉藤鐵工所の播州工場の工場見学に密着!水害から人々を守る水門やゲートがどのように作られているのか、その一部始終をご紹介します!
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■はじめにー工場での製造工程を学ぶ
水門の製造は、公共事業であるため自治体の入札からスタートします。その後、依頼内容に基づき設計された図面に従って、工場で加工・組立・品質検査という工程を経ていきます。製造現場では、材料の加工から組立を主に見学することができます。
それでは早速、工場見学に行ってみましょう!
斉藤鐵工所の齋藤維代表取締役社長が解説をしながら案内します!
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斉藤鐵工所はもともと金属製品の製造からスタートした会社なので、現在も柵や手すりなど金属を使ったモノづくりはお手のもの。水門と様々な金属製品の加工を工場で同時進行して作っています。
公共事業の仕事では製造に着手するのは、10月頃。そこからだいたい3月までという期間で製造していきます。ただし、田んぼには農作業のため6月~11月までは入ることができないという決まりがあり、5月頃まで工期を延長できることもあるのだとか。
まずは水門の役割についてを解説。
水門には、河川・港湾・ダム・ポンプ場・上下水道の水流を調整し、浸水や高潮による被害を阻止する役割があります。しかし、水門の種類は多種あり、扉を区切って水を止める役割もあれば、別の水路に水を流すために水位をあげていくという役割もあります。
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こちらは転倒ゲート。半回転しながら上へ扉があがり水流を調整します。
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こちらは油圧でゲートを動かす装置。[DSC_0537.jpg]
こちらは上下水用ゲート。下水処理場では汚れた水に薬品を入れてきれいにしていくのですが、処理槽下部にゲートが設置されており、そこから次の槽へと水を流していくことを繰り返します。
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こちらは電動式の開閉装置です。
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これはステンレス製のスライドゲートです。金属同士が重なって水を止める、メタルタッチという水密方法になっています。
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溶接工程では、さまざまな材質や形状のものを溶接していきます。
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溶接で高温になった金属は少し曲がるため、プレスが次の工程に加わります。水を相手にしている製品では、0.01~0.04ミリという単位で隙間を防いでいかないといけません。今は機械がありますが、昔は粉をつけてその隙間を見つけ平にしていっていたのだそうです。まさに職人技だったのですね。
鉄製のものには塗装で補強を施します。材質でいうとステンレスが一番強く、鉄は弱い。その分費用を抑えられます。表面がツルツルと塗装が剝がれてしまうので、鉄球をぶつけてザラザラにするというひと手間を挟みます。ネイルで、爪の表面を傷つけてジェルを塗るという工程を挟むのと似たようなイメージですね。これで20~30年程度もつのだそう。ステンレスではかなり長くもつのだそうです。
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またゴムを利用して隙間を開けない加工方法もあります。ゴムの場合は金属に比べて劣化しやすいため、メンテナンスは随時行う必要があります。
別棟の工場には、新しい設備が導入。
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これは、製品を平らに加工したり、穴をあけたりする機械。
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穴には特殊なビスを差し込み、板を張り合わせます。接着剤では十分に接着しないため、ビスで固定してから加工していきます。
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また、材質が同じものを組み合わせてしまうと、摩擦の力が強すぎてひっついてしまって取れなくなるため、違う材質の金属で組み立てないといけないのだそうです。
切削加工ではフライスと旋盤を使って削る方法があります。
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旋回するタイプの機械は、繊維が機械に絡まってしまうと大変なので軍手禁止。素手か皮手袋を使わないといけないそうです。
検査も自社で行います。
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このゲートについているくさびが斜めになっているのがわかりますか?ここをななめにすることで隙間をかっちりと埋め、水が通らない仕組みになっているのです。細かい技術の積み重ねで、水を自在に通すことができないような水門づくりができています。検査ではそのような漏れ量もしっかりとチェックしていきます。
近年は加工精度が高いことから、0.04ミリといった隙間も防ぐ技術ができてきたとは齋藤社長の言葉。100分の数ミリの隙間に気を配り、思った以上に多くの工程を経て1つの製品が作られることがわかります。
水をコントロールするためには、「水が漏れないもの」を作ることが何より大切なのですね。
職人さんの情熱と繊細な技と最新設備の導入が織りなす、斉藤鐵工所の水門製造。実際に見て説明を受けることで製品のダイナミックさと、繊細さを実感し、水門についての知識が深まります。
ぜひ、気軽に工場見学を申し込んでみてください!
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