「今でこそ解体工事は、建設業許可が必要な29業種の一つとして
国から正式に認定されるなど、重要な事業として広く
認められるようになっています。しかし数十年前は『解体屋』と呼ばれ、
かなりグレーな存在だったのです」
そう語るのは、1991年に三同建設に入社して以来、30年以上に渡って
解体の現場を見届けてきた、東京支店長の島田俊男氏。
入社して20年ほどは、様々な解体現場で管理業務を行い、
役員として要職となった今も様々な解体事業全体を統括する立場として、
解体現場を取り巻く30年の環境の変化を強く実感しているといいます。
その一つが「安全と環境意識の高まり」。
島田さん
「今でこそ、アスベスト対策や周囲への騒音対策等が徹底されていますが、
法規制もない昔は、そんな意識はまったくありませんでしたね」
また昨今の働き方改革の影響は土木・建築業界にも及んでいて、
昔は日曜・祝日休みだったのが、今は土日休みで残業もあまりしないなど、
一般的な企業とそん色ない労働環境になっています。
島田さん
「またIT化が現場でも進んでいて、勤怠管理や各種申請書類の作成なども基本、
現場で会社が支給するPCやスマートフォンを使って手軽にできます。
それによる業務の効率化も、残業が減った大きな理由の一つです」
このように30年で大きく変化してきた解体工事ですが、その仕事の魅力は昔と変わらないといいます。
それは【一つとして同じ解体現場がない】という点。
解体するビルやマンションなどは、一つ一つ大きさと構造や周囲の環境が異なります。
そのため、現地調査を入念に行い、図面を見ながら安全や環境、コスト、工期等に配慮しながらベストな解体方法や工程を考え、実践することで想定通りに工事を無事、完了できた時には、大きな達成感を得られるといいます。
島田さん
「最近では都市部を中心に、20階以上の中層建築物の解体工事も増えており、
解体の難易度は高まっています。
そのため、『切断工法』等の最新技術を活用することでチャレンジしています」
さらに近い将来、1970~80年代に建設された超高層ビルの解体時期を迎えようとしている
ことから、
業界全体の解体工事でも新たな解体技術や工法に関する研究が進められているそうです。
いずれは「ドローンで測量」するなど、最新技術を駆使して大規模高層ビルの解体工事を
管理する可能性もあることから、これまで以上に大きなやりがいを得られるかもしれません。