2004年の創業以来、これまで15名のスタッフが同社から独立し、自分の店をオープンさせています。
いずれも人気店となるなど、その教育・育成方法に注目が集まっています。
しかしオーナーシェフである齊藤誠氏は、特段、変わった教育を行っているわけではありません。
接客や調理技術だけではなく、人間性を高めるための教育に力点を置いているそうです。
齊藤
「スタッフには、日ごろから嘘はつくな、といっています。人間誰しも間違いはある。
でもそこでミスを責めても仕方がないし、噓をつかれてその後、
さらにトラブルが大きくなればそのスタッフだけの問題ではなくなってしまいます。
なぜミスが生まれたのか?そのミスを再び繰り返さないためには、
どうすればいいのか?基本的に自分で考えさせるようにすることで、
自ら考える力を養い、改善に向けて努力できるように仕向けていきます」
また今年1月、新店「TOSAGE」が元麻布にオープンしましたが、
この店の店主はそれまで10年以上、修行してきた現役の社員。
つまり「社内独立制度」によって生まれた、新しい店舗となります。
その意図について齊藤氏は
「まずは社員として自分の店を持つ→独立経営できるノウハウを学ぶ→その店舗で独立する」
という流れで、段階的に独立に対するノウハウを積み上げていく制度です。
なるべく経営上のリスクを排除して、安心しながら、独立経営を学べるという意図があります。
また他にも将来、自分の店を持つのに必要な知識・スキルを習得するために、
様々な取組も行っているそうです。
●ローテーション制度
定期的にホール・調理等のポジションをローテーションさせていくことで、
再び同じポジションに戻ったとき、それまでとは違う視点で仕事に向き合うことができて、仕事の質を改善できる
●数字チェック
毎週、経理担当から上がってくる店舗運営に関する経費などの数字を分析するミーティングを
店長・料理長クラスに対して実施。
原価計算の仕組みに対する理解を深めると同時に、
理想的な店舗運営を行うためのノウハウを習得できる。
ちなみに先程ご紹介した「TOSAGE」の店主は10年以上の経験を積んで、こうしたスキルを磨いて社内独立を果たしています。
また最後に齊藤氏からは
「仮に1人のシェフが50皿の同じメニューを作ったとしても、お客様にとってはたった一皿という貴重な存在。
その一皿一皿をいつも大事にできる人こそ、自分の夢を叶えることができると信じています」
というメッセージを頂きました。